過去のイベント

このページでは、これまでに行ったイベントのレポートなどを保存しています。


「LGBT成人式」に参加してきました

先日1月15日に開催されたLGBT成人式

本当に本当に、感動的なイベントでした。

私も参加をさせて頂いてきましたので、そのご報告をば。

 

LGBT成人式。というこのイベントは、今年が開催第一回目。

主催は早稲田大学のセクマイサークル「re:bit(りびっと)」。

リビット自体は早稲田の生徒さんだけでなく、他大学の生徒さんも参加されているらしく

色んな大学の学生さんがスタッフとして参加されていました。

 

 

「成人式」と銘打ってあるので、「ハタチの人だけのものなんだよね?」と

複数の方から聞かれましたが、そういうことでもなく、セクシャリティも年齢も不問。

「セクを含めた自分を好きになろう!Celebrate yourself!!!」というイベントでした。

 

思うに

(1)「自分トランスなのに、着たくない服着て成人式だなんて憂鬱」などという会話から生まれ

(2)「自分も成人式を祝いなおしたいなー」という声に、「成人」だけに限らないイベントになり

(セクシャルマイノリティには、成人式にいい思い出のない人も多い。正装がジェンダーの問題にひっかかったり

恋人と連れだっていけなかったり)

(3)成人式って大人になることを祝うこと?じゃあ大人になるって何?という話になり

(大人って社会で仕事したり、家族を持ったりするみたいだけど、LGBTの大人はどうしてんだろ?という話に

発展)

(4)さらに、セクを含めた自分を祝ってもらう機会ってあんまりないよね・・・なら、祝ってもらっちゃおうよ!

という話になった・・・

 

のではないかと推測されるイベントでした(笑)。

 

そんなLGBT成人式、東京都世田谷区にある、成城ホールというところで開催されました。

後援には、なんと!世田谷区が。

そして協賛には、とてもLGBTフレンドリーな金融会社「メリルリンチ」、

コンドームでおなじみ「オカモト」

アムステルダムのオシャレリキュールメーカー「BOLS」

これまたおなじみ、化粧品やお風呂グッズを扱う「ボディショップ」。

協力には、さかえや(着物屋さんみたいです。たぶん式で貸し出されていた着物を用立てていた会社さん)と

二丁目のバー、bumble beeが名前を挙げておられました。


さて、当日の様子です。

 

会場になった成城ホールは新しくてきれいな施設で、

当日はこの施設まるまる貸切(たぶん)で行われていました。

外への配慮もとてもきちんとしていて

駅からの道にも、入り口にも、スタッフさんは立ってくれていたのですが

持っている札にはただ「成人式」とだけ書かれて

人目を気にしないで入れるように工夫されていました。

そして撮影は一切禁止。

というわけで、ごめんなさい、残念ながら写真はありません。

みんなのプライバシーをしっかり守りたい、というスタッフさんの気持ちには頭が下がりました。

 

会場も貸切なので、ほかのお客さんからみられて嫌な思いをすることも一切ありません。

好きな服を着て、好きなひとと、思いっきりお祝いがしあえるのです!!

 

会場では、何人ものトランスの子たちが

着たかった袴や振袖を着て、感無量な顔をしているのに出会いました。

あるいは、スーツだったり、あるいはカジュアルないつも通りの服装だったり。

成人式だから、これを着なきゃなんていう縛りはありません。

自分の好きな恰好で自分たちを祝えばいいのです。

 

ちなみに私は相方がプレゼントしてくれたワンピで行きました。

みなさんの前に出るので、今回はいつもとは少し違う雰囲気で(笑)。

 

 

さて、会は15時にスタートしました。

ちょっと前に、受付を覗きにいったら、人!人!人!

今日は満員御礼、300人(完全予約)で行われたのですが、

会場いっぱいに様々な年齢のLGBT、そしてその家族や友人が来られていました。

ひとりで来ているひともたくさんいらっしゃいました。

ひとりで来るのは勇気もいったでしょう。だけど、自分で自分を祝おうという気持ちで参加されたのだなあと思うと

その心意気にグっときました。

そんなあなたに幸あれ!!

 

 

そして、イベントが始まりました。

第一部は15時から45分間。

興奮のせいで記憶が定かでないので(笑)忘れてるとこもあるかも?ですが

まずは新成人が「ありがとう」と言いたい人への映像メッセージ。

FTMをカミングアウトした大学生とお母さん。

それから、FTMの大学生とノンケの友達の二組の対談の映像が流れ、

続いて、様々な立場の人から、「ありがとうを言いたい人へ」ひとことビデオメッセージ。

 

そのあとは、二人の新成人(FTMとゲイ)が、成人にあたっての抱負を檀上で話してくれました。

そのうちの一人の抱負は、こちらに全文が掲載されていたので

ぜひ読んでいただきたい。

若い人のひたむきさ、たとえ傷ついても前を向いて歩いて行こうという姿に

会場からはすすり泣きと同時に、自然に拍手が。

私も化粧が落ちるので泣きたくなかったのですが、やっぱり視界がにじみました(堪えた!)。

 

 

続いては、お祝いに来てくださった政治家の方々の祝辞!

世田谷区長、保坂さんの祝辞に始まり、世田谷区議、東京都議の方々、

さらにはLGBTを公表して議員になられた中野区の石坂わたるさん

豊島区の石川大我さんらが祝辞を述べてくださいました。

LGBTのイベントには初めて来た、という方から、LGBTフレンドリーな海外での

体験を話してくださった方、ご自身の体験をまじえ共感を語ってくださった方など

みなさんなにかしらを感じてくださっていた様子に、こちらもとても励まされました。

こうやって政治家の方々が壇上にいてくれるというのは、とても頼もしく、勇気づけられることでもありました。


第一部はこの会を主催したスタッフさんたちの映像で締め。

みんなの笑顔がキラキラしていました。

 

休憩をはさんで、第二部に突入。

第二部はLGBTAの大人たちによるトークショーです!!

 

LGBT成人式が掲げていたことのひとつに

大人になるにあたって、「今のLGBTの大人たちはどうしてるんだろう?」というのを

話してもらおうじゃないか、というのがありました。

というわけで、第二部はLGBTA(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、アライアンス=支援者)

の大人たちが今どうしているのかを話し合おうというカジュアルなトークショーでした。

 

参加されていたのは、

総合司会として、性同一性障がいを告白して活躍中のモデル、佐藤かよさんと、FTMの学生、さくらさん。

それから「ゲイの友人がたくさんいる」というMEGUMIさん。

「ダブルハッピネス」の著者で、FTMとして働いておられる杉山文野さん、

昨年は葉山のカラフルカフェを開いたり(今年もやるそう!)と大活躍だった、グットエイジングエールズ代表の

松中権(G)さん。

それから新成人として、MTFの恋人がいて、自身はFTXというさささんと

同じく新成人で日によってジェンダーが違うというもじゃさん。

そして、家族として暮らしているLGBTの例、ということで私も参加させていただいてきました。

 

 

トークショーでは、幼少期に感じた違和感やカミングアウトについて、

また職場ではどうしているのか、家族を持つって?などのテーマに沿っての

クロストークでした。

 

レンジャー隊が大好きだった幼少期の話をしてくれたFTMの方がいたり、

カミングアウトをして職場で働くことでリアルに感じたことを伺えたり、

職場恋愛(!)の経験を話してくれる方がいたり

クロスするジェンダーを大切にしながらのお付き合いの様子や

自身のジェンダーの揺れを話してくれる方がいたりと

みなさんほんと、とても面白い話をしてくれて

最初はガッチガチに緊張していたのですが

いつの間にか私も話に引き込まれていました。

 

 

私自身は幼少期の違和感はなかったものの

カミングアウトについては、現在、フルカミングアウトではないので

その立場から、カミングアウトに対しての自分の想いを話させてもらいました。

 

また、仕事についても、自分なりの働き方について、

少し触れさせていただいたり、

家族を持つことについても、現状や、いま感じていることなどをお話させていただきました。

 

あっという間の1時間半(一時間半もあったとは思えない!)

本当に、100人いれば100通りのありようがあるのだなあ、と感じました。

壇上の話はあくまでもひとつの例に過ぎないと思うけれど

みなさんがそれぞれの立場で、人生を模索していくときに

なにかのヒントに、少しでもなれば幸いです。

 


さて、会のあとはアフターパーティまで、みなさん会場で自由に過ごされていました。

メイン会場は、1階のホールだったのですが

それ以外に、4階には交流スペースが用意されていて

横断幕や、様々な団体からの祝辞、

それから!!みなさんから書いていただいたあの「LGBT家族と友人からの応援メッセージ」も

展示していただきました!!

せっかく寄せ書きを書いて頂いたのだから、会場の様子をせめてみなさんにお伝えしたい・・・と思い、

スタッフの方に、無理ををいって

展示の様子を写真に収めさせて頂きました。

(撮影にあたっては、端にボードを寄せました。本当は会場の真ん中にあったのですが!)

 

トークショーの後には、たくさんの方が寄せ書きを見に来てくださいました。

赤ちゃんだーと声をあげる方、熱心に読みふける方、

恋人と楽しそうに見て行かれる方、

それに当事者のお子さんがいる親子の方も、見ていってくださいました。

また、会場では、お子さんが欲しいと思っておられる当事者の方からの

熱心な質問も受けました。

 

さらには、わざわざ世田谷区議の方が寄せ書きを見に、交流スペースまで上がって来て下さり、

「いろんな家族がいるんですね!」と熱く語ってくださり、これにはかなり感動。

こうして知ろうとしてくださっている方がこんなにたくさんいるんだ!と、私も感じることができて

すごく嬉しかったです。(みなさんの寄せ書きの力ですよ!!!)

 

LGBT家族のみなさんがそれぞれのやり方で模索している様子は

参加者の心に訴えるところがあったと手ごたえを感じています。

 

 

最後はアフターパーティでした。

GIDのメンバーを中心とした和太鼓のド迫力に感激し、

チームに分かれてのゲーム大会で盛り上がり

会場の方々とあれこれ話しをして

さらには佐藤かよさんがサプライズで登場してくれたり(キャーキャー大騒ぎ!)。

最後には、スタッフ一同が前に並んだ姿に、また感動し。

 

 

本当に、若いひとたちの力を感じた、素晴らしいイベントでした。

彼らのこの一年の努力、チームワークを強く感じたし、

頼もしく、LGBTの未来は明るいなあ!と思うと同時に、

こうやって近くで彼らを見る機会をもらってみると改めて

ああ、悩んだり苦しんだりは、若いころの自分と変わらないんだ・・・とも感じました。

 

大人になるということは、心の皮膚が少しずつ分厚くなっていくことでもあります。

同じように悩んではいても、心の底にある柔らかい部分を、外に出しっぱなしに

しておかないで済むようになる、ということだとも感じます。

若い、ということはそれだけ、むき出しの心がある、ということなんだなあと思います。

私もかつては、むき出しで、傷つきやすい、脆い若者でした。

今は少し、図々しく、ずるがしこくもなりました(笑)。

人生は、失敗したら終わりじゃないと知って

たとえ他人を傷つけることがあっても、そのあとに、出来る限りのことをすればいいと

思えるようにもなりました。

幸せを追い求めてしまう、エゴイスティックな自分の事も、少しは許してあげられるようになりました。

そうしているうちに、自分以外に、他者がいる、ということに気が付けるようになりました。

そうやって、生きていることは続いていきます。

自分らしく、幸せを求めていけるように。

 

私はこれまで、年長の、LGBTの先輩たちに、たくさんの愛情を与えてもらってきました。

自分のことで精いっぱいな私に、先輩たちは無条件で愛情をかけてくれた。

そうしてもらっているうちに、私も若い人に、なにかを分けたくなりました。

 

私からの精一杯の応援です。

どうか、いつの日も、たとえ潰れそうになる時も

あなたの幸せのしっぽを、ずっと手放さないでいてください。

一緒に生きていきましょう。

幸せになりましょう。

この世界で、この日常の中で、それぞれの道を歩いていきましょう。

 

おめでとう!おめでとう!おめでとう!!

 


LGBT成人式とは・・・

「自分のセクシュアリティをもっと好きになる、
そんなきっかけがつまった一日。
好きな格好で、大切な人たちと。
『ありのままの自分』を祝おう。Celebrate yourself!! 」